まだ4~5分咲きのその花は、いずれ満開に咲き誇り、やがて散り消えゆく運命。古来から日本人は、桜の満開をハレとして尊ぶだけでなく、散りゆく姿に儚さや無常観を見出し、愛でてきたはずです。
随分前に読んだ小林秀雄の対話集の中で次のように述べていたと記憶している。西洋と東洋とは自然観がまるで異なる。西洋の合理主義精神、科学精神、そういうものは、自然との敵対関係から生まれてきたものかもしれない、と美についての一節で論じていた。つまり、小林が言いたかったのは、日本では桜などの花が季節の到来を報せ、その花の見せる繊細な美しさと儚さを感じる美の発見的な要素が、日本人の精神の中には息づいていると言うことではないだろうか。
私はその美の発見の瞬間に遭遇したのだ。



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