私は今まで、マネジメントという事柄に多く関わってきた。経営というフィールドでは戦略や戦術をいかにLogicalに説得していくかという、左脳的世界に安住していたように思う。これでは、現在の不確実なビジネス環境において限界がある。そこで今年前半私は、精力的に右脳的世界の住人であるファッション・デザイナー、建築家、プロダクト・デザイナーなどとの対話を繰り返してきた。その対話の中で繰り返し出てきたキーワードが、"Creative"であった。クリエイティブという言葉は、直訳すると「創造的な」と言うことになるのだが、その言葉の奥底には「何が良いモノかを洞察する審美眼的な」というInsight的な意味合いも含まれているように思う。マネジメントとは、ヒト、カネ、モノなどの目利き力を持った形で捉えられるべきである。この私の思考角度にブレがないと感じたのは、今年になってビジネス専門誌などがデザイン思考力などに関する特集を組んだことにも現れているように感じる。
もう1つ"Creative"と関連付けられる事象として挙げられるのが、活気ある都市創造や人材育成のキーワードとして今年になって日本でも注目されるようになってきた"Creative Class"がある。聞き慣れない方もおられるかもしれないが、米国で今から5年前の2002年、都市経済学者のDr. Richard Floridaが"The Rise of the Creative Class"という書を著し、このフレーズが一気に世界的注目を浴びることになる。
簡単に言ってしまうと、Creative Classとは、アイデア、技術、コンテンツの創造で経済成長エンジンを担う人々を指す。そのコアは、科学者、エンジニア、建築家、デザイナー、教育者、アーティスト、ミュージシャン、エンタティナーなどが含まれる。ビジネス、金融、法律、医療、といった自律的に複雑な問題解決を扱うKnowledge Workerも含む。このKnowledge Workerの概念は、2年前に亡くなった現代経営学の発明者:Dr. Peter Druckerが唱えたもので、Dr. Floridaはこの概念も取り込んでいる。今後の世界市場における競争力は、これら"Creative Class"が好んで住むエリアおよび都市から生まれてくるのかも知れない。
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では、この"Creative"にいち早く着目し、"Creative"を自分達の中で昇華し、実行している組織があるのかと考えたとき、直ぐに頭に浮かんだのが"IDEO"であった。私はアメリカ留学時期より、この企業の進化をキャッチ・アップしてきた。日本の土壌にはなかなか生まれないであろう、デザイン・コンサルティング・ファーム:IDEOは、あの深澤直人氏が籍を置いていたことでも知られている。この一種特殊なファームは、独特なデザインソリューション手法:より良い顧客経験をデザインするための5つのステップ(Observation、Brainstorming、Rapid Prototyping、Refining、Implementation)を駆使して、"Creative Economy"の先端を走り続けている。このような他者をワクワクさせる企業が、もっと日本にも誕生してもらいたい。
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私は今後も、"Creative"な組織、人、モノをこのブログを通じて紹介したいし、私自身も今以上にデザイン思考力を磨き、真の"Creative Class"の仲間入りができるように精進していきたいと思う、今日この頃である。
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