Monday, December 31, 2007

大晦日に想う小さな英雄待望論

世界中ではこの時期になると、過ぎ去っていく一年間を振り返り、多種多様の新聞やテレビ、ジャーナリスト達、マスメディアがこぞって、影響を与えた人達、人助けをした人達などの話題を一斉に取り上げる。特に有名なのは、TIME誌が発表する"Person of the Year"だろう。ちなみに今年2007年の"Person of the Year"は、ロシア大統領プーチン氏だった。これらの話にでてくる英雄達は、若者、お年寄り、裕福であったり、そうでなかったりと様々ではあるが、何らかの足跡をこの世界に残したのは確かである。



しかし日本だけのことを考えた場合、今年の一字が「偽」ということが示すように、ヒーロー的行為が話題には上らなかった一年ではなかったろうか。その中で、ヒーロー的存在の人間や組織がどれだけ皆さんの頭に浮かぶだろう?私の思考の中では、政治の世界には皆無、経済界にも余り思い浮かばない。この日本をマネジメントしようという人間の中に、英雄的な行動が見えてこないのは実に寂しい感じがする。スポーツ界でいえばイチロー、自然科学分野の万能細胞を発見して京大研究グループ、などは本当に世界に誇れる事象ではあるけれど。

今日、英雄とは何か?を考えたとき、人間の域を越えるような良い行為をしたり、とてつもない深い愛情をもって素晴らしい行動した人達ということが頭には浮かぶ。Big Storyにメディアが集中している間にも、 実は既に毎日の生活や、仕事、いつもの日常の中で、私は小さな英雄達と出会い、時を過ごしているのではないかと思うこともある。 こう考えると、実際私は今年もコミュニティや人のために小さくてもヘルプをした人、平凡な現状を越えるよう務めた人、快適で楽な道へ進むことを拒否した人などの小さな英雄達とビジネス、プライベートの各シーンで出会っていることに気付かされた。英雄とは「しょうがない」と言って諦めることをせず、その必然性を拒否する人達の事だと私は信じている。皆さんは忘れていないだろうか、歴史上で起こった素晴らしい社会的運動や発見は、一人の人間の一つの行為・発想から始まっていることを。

今年も私を取り巻くマクロ環境においても、ミクロ環境においても、変化が大なり小なり起こった。それらは小さな英雄達との出会いの中で起こったことを考えれば、私は来るべき2008年も変化を受け入れ、実際に行動に移すことができる人達との交流を、リアル世界、ブログなどのバーチャル世界で繰り広げていきたい。

最後になりましたが、今年もこの不定期更新のブログを読んでいただいた方々に感謝します。来年以降も不定期に、しかし私のオリジナルな思考のもと、このブログを続けていきたいと考えています。2008年が皆さんにとって、実り多き、小さな影響力を社会に示していける一年となりますように!!

I wish A Happy New Year, May it be a Heroic Year for All of Us!!

Monday, December 17, 2007

服との対話: Hyakkado 5th Anniversary Party

久しぶりの更新である。
先週はバタバタしていて、更新したいテーマがあったのだが、今日になってしまった。

1週間ちょっと前、Dress Code "Flower"(花=華)という個性的なPartyに参加した。
そのPartyとは、私が2年ちょっと前から親しくさせてもらっている「百花堂」のブランド立ち上げ5周年を祝うものであった。ブランドネームからも分かるように、ここの服にはラグジュアリーな生地(シルク、ベルベット、ちりめん、大島紬など)と華のあるデザイン&スタイル提案で、日本のファッション地平に新たな価値を創造した。

この百花堂ブランドは、隠し絵のように、私達現在の日本人達が忘れそうになっている日本人の心と日本の美を浮かび上がらせる服、バッグ、帽子、などを提示してくれる。現在女性のアパレルラインしかないのだが、男性の私でもそのコレクションを見ていると、「美」というものを再認識させられる。ぜひ、そのような感覚をメンズラインを構築することによって、男性諸氏にも体感させていただきたい。

皆さんに百花堂をリアルまたはバーチャルに体験してもらうには、店舗やウェブを訪問していただければよいのだが、私自身がこのブランドと出会って、感じたことを記号化してみると、

オリジナル/インディビジュアル/印象的/リミティッドエディション/第一人者/影響力/コレクター/変化/止められない勢い/想像を超えた/ポストモダン/探究的/スタイリッシュ/Jamming/革新的/謙虚/スマート/グローバル/エレガント/耽美的/複眼的、など

私の感性を刺激するターミノロジーが頭に浮かんでくる。

このような百花堂が主催した5th Anniversary Partyには、日本中から知的な美意識を持った方々集っていた。

その模様は、

http://www.hyakkado.com/blog/event/5anniversary_party/408
http://www.hyakkado.com/diary/style/423
http://www.hyakkado.com/diary/music/421
http://www.hyakkado.com/diary/flowers/411

に詳しくレポートされているので、ご覧になってみてはいかがでしょう。そして、この「美」と「知」を体感し、その服に袖を通してみたいと感じた方は、店舗を訪れてもらえたらと思います。

Party後、参加者に渡された百花堂店舗の中で実際に流されているMusic群のコンピレーションCD











最後に、素敵なPartyに招待していただいた、百花堂ブランドをプロデュースし、クリエイトされているmiwaさん&maoさんに、Special Thanksをこの場を借りて述べておきたい。そして、今後もお二人が生きてきた時代と現在が、店舗がある京都という「場」でエレガントに交錯し続けていくことを願っています。

PS:私が撮影したParty模様の写真も掲載しておきます(犬楽の皆さん、ピアノ・アーチストのaricoさん、ブリリアントなJamming最高でした)。







Friday, November 23, 2007

”Visionary"2007前半:ネームペンから見えてきたWithout Thought思考

今年前半に、私は神戸のステーショナリーショップで、凄く手になじみ易いネームペンを購入した。ちなみにネームペンとは、ボールペンに印鑑が付加された例のものである。このペンは、ユーザビリティに富んでいるだけではなく、デザイン性も他を圧倒するものがあった。まずは現物をご覧あれ。



もっとクリアな画像をお望みの方には、

























このシヤチハタ製のネームペンを購入してから分かったことなのだが、なんと私が以前このブログの「Creative考」の中でもふれた深澤直人氏デザインのペンだったのだ。何たる偶然。これも、私のSerendipityであろうか。

以前から、私は深澤直人氏の仕事に大変興味を持って眺めている。しかし、今回氏の仕事を良く知っている人から見ると、なぜネームペンなの?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。私もその1人で、なぜ日本を代表するプロダクトデザイナーがネームペンのデザインなのか?この疑問に対する答えが、氏の著書である「デザインの輪郭」で明らかにされている。



それは、彼のデザインする際の基本姿勢である"Without Thought"から来ているように思える。"Without Thought"を直訳すると「思考せずに」になるのだろうが、人は無意識にモノ(物事)と関わってるということを、このフレーズで伝えたいのであろう。氏の著書の中では、行為に溶けるデザイン(デザインは存在し、目的も達しているが、モノ自体は消える)とも表現される。傘立てが無い所に傘を立てる、傘の柄にモノを掛ける、などの人間が「無意識に」、「無自覚に」、あるいは「考えずに」という概念に光を当てる。深澤氏のデザインを体現しているこの思考こそが、今回私が手にした、誰もが日常普通に使用しているペンに印鑑を付加した「ネームペン」のデザインへ向かわせたのではないだろうか。

この"Without Thought" = 「行為に溶けるデザイン」というデザイン思考は、ジェームス・ギブソンの創造した用語、"Affordance"にも言い換えられる。日常で人々が普通に行う行為(アフォーダンス)を、深澤氏がデザインした「リモワ・スーツケース椅子」にも見て取れる。この場合の行為とは、飛行場などでスーツケースに座ったりする行為である。実にユーモア溢れる、ユニークなデザインに帰結している。





















一般的にハイスペック信仰みたいなものが、結構行き詰まりを見せている。私が見ていて感じるのは、人間側のハードディスク容量がもういっぱいいっぱいになってるように見える。例えば、Digital Gadgetや家電製品などを例に取っても、その多機能性を補完するために分厚い説明書を付加してくるが、私なんかは殆ど読まずに感覚的に触って憶えている。これからは、もっと直感的な操作性や、感覚的にその良さが分かるものが重要になってくるんじゃないだろうか。その意味でも今回取り上げた深澤氏の"Without Thought"思考によるネームペンのように、限界までデザイン性を削ぎ落とし、直感に訴えることこそが、時代を先取りしているように感じる。

Tuesday, November 06, 2007

日本初!!

11月最初の更新は、いつもとは少し趣向を変えて、軽めの話題で行きます。
とはいっても、今年私の思考の中心となっている"Creative"が今回の内容にも少しは反映されているかな。

最近WEB情報の中で興味を持った話題、"Auction"について紹介してみたい。
皆さんは、オークションと聞いて何を思い浮かべますか?例えば、ヤフー・オークションのようなInternetに特化されたオークション、それとも西欧社会で長い歴史と経験を積み重ねている"Sotheby's"や"Christie's"などの本格的オークションだろうか。
私は随分前から、Sotheby'sなどの本格的オークションハウスのカタログを眺めるのが好きだった。世界の目利きが集まり、競売にかける一級の商品をカタログ越しではあるが覗いてみると、その商品の歴史性や背景などが分かり、ワクワクしたものだ。

そんな本格的オークションハウスが日本にも登場する。全世界のモダンデザインを中心とした、日本初の本格的オークションハウスの名前は、"Connect."。



ここでは、CHARLES & RAY EAMES、GEORGE NELSON & ASSOCIATES、ARNE JACOBSENなどなど、クリエイティブを活性化させる創造物が続々出品される。
Preview Startが11月22日、Auction Startが11月26日午前10時~
ここから、新たな潮流が起こることを少し期待している。

Monday, October 29, 2007

瓢亭:五感を駆使して食する











私はこのブログで、Gourmet的記事に関しては極力避けてきた。
Gourmetというのは独りよがりの所もあるし、このブログの方向性:"Think-Write"(書いて考える)には適していないかなぁ、と考えていたからだ。

しかし先日訪れた「瓢亭」には、その店の入り口を潜った瞬間から、私の思考を活性化させ、ここの料理には五感を研ぎ澄ませて臨まねばという感覚を覚えた。こんな感じを覚えたのは、神戸の伝説のフランス料理店であった「ジャン・ムーラン」以来だろうか。





この感覚というのは、料理&空間(客室=茶室)&ホスピタリティの三重奏から来ていることが、全ての食事を味わった後に波のように私の精神に押し寄せた。このように、五感を駆使して味わう料理には、1999年に食の世界に新しい価値観として登場したアレクサンドル・カマスが提示した"Fooding(= Food + Feeling)"という概念がピッタリ来る。"Fooding"とは、目・鼻・耳などの全ての感覚を使って料理を評価しようというもの。
でもこの概念は今に始まったわけではなく、私が以前このブログでも取り上げた北大路魯山人が実践していた。魯山人自身がトータルプロデュースした「星ヶ岡茶寮」では、料理の味が良いのは当然で、大事なのは食をいかに総合的に楽しめるかであった。400年の歴史と現在の日本で最高ランクの懐石を提供している瓢亭にも魯山人が残した精神が引き継がれているかのようであった。

では、私が五感を駆使して味わった料理の数々をお目にかけよう。





瓢亭の真髄が見られる「半熟鶏卵」








今年初めての松茸:土瓶蒸し&松茸ご飯




この柿が秀逸:完熟した柿が、ゼリーのような感触と、品の良い甘さを醸成していた




瓢亭へ誘ってくれたMr. Hにこの場を借りてThanks a lot!!の気持ちを伝えておこう。

最後に、今回の瓢亭の食のトータルデザインを、北大路魯山人の言葉で纏めておこう。
「味覚と形の美は切っても切れない関係にある」

この魅惑の食の場を体験してみたい方は、次のアクセスマップを参考に。

Friday, October 19, 2007

ファッションショーにおける発想の転換から見えたこと

ちょっと面白い発想の転換に繋がる出来事が私のアンテナに触れた。

先日行われた"The Wind by Issey Miyake with James Dyson"と銘打たれたファッションショーがそれである。



三宅一生とあのサイクロン掃除機で有名なJames Dysonが先日パリで「the wind」というテーマでコラボレーションしたのである。
三宅一生とダイソンの共通項は何かと考えた時、それは常に"Innovation"を追求してきたことにあるのではないか。時代のトレンドにアンチテーゼを投げかけ、その都度様々な批判に晒されながらも力強く前進する。両者にはその強い意志と、凄みみたいなものの存在を感じる。

今回のショーにおけるエッセンスとして、「発想力」、「具現化力」、「創発力」の3つが挙げられると思う。イッセイミヤケとジェームス・ダイソンという二人の著名なInnovative Creatorが織り成した今回のショーでは、一般的には縁遠いと思われる洋服と掃除機、それぞれのコンセプトを噛み砕いて、デザインとエンジニアリングは常に対で共存するという「大文字の」テーマを社会へ発信したことに意義があったのではないか。2つの異質な存在が手を組み、今回で言えば1つのイベントに昇華させようという「発想」。そして、ダイソンがステージセットを担当し、ファッションショーのランウェイを掃除機のホースからイッセイミヤケの服をまとったモデル達が(時代と言う)風に吹かれて登場してくるという「具現化」。ただ単に奇を衒ったということではない、デザインとエンジニアリングの共生というメッセージが発信された「創発」。

私がここで挙げた3つのエッセンスは、現在世界中の様々な業界で行われているコラボレーションのキモになるでしょう。一般的に違った領域同士でのコラボレーションは、違った価値を持ったもの同士が交配することによって、化学反応を起こし、相乗効果を持った商品であったり、サービスが生まれることを期待される。しかし実際には、ただ単に「コラボしました」的な事柄が多いのではないだろうか。
折角知恵を絞ったコラボレーションであっても、シナジー効果を創造する商品やサービスを具現化し、期待以上の着地を見せなければ意味が無い。

今回の出来事は、ビジネス現場にとってもメルクマールとなるのではないだろうか。

Monday, October 08, 2007

"Visionary"2007前半:Creative考

"Visionary"シリーズ第3弾は、ここ数年私の仕事とも密接に関係している"Creative"について考えてみたい。

私は今まで、マネジメントという事柄に多く関わってきた。経営というフィールドでは戦略や戦術をいかにLogicalに説得していくかという、左脳的世界に安住していたように思う。これでは、現在の不確実なビジネス環境において限界がある。そこで今年前半私は、精力的に右脳的世界の住人であるファッション・デザイナー、建築家、プロダクト・デザイナーなどとの対話を繰り返してきた。その対話の中で繰り返し出てきたキーワードが、"Creative"であった。クリエイティブという言葉は、直訳すると「創造的な」と言うことになるのだが、その言葉の奥底には「何が良いモノかを洞察する審美眼的な」というInsight的な意味合いも含まれているように思う。マネジメントとは、ヒト、カネ、モノなどの目利き力を持った形で捉えられるべきである。この私の思考角度にブレがないと感じたのは、今年になってビジネス専門誌などがデザイン思考力などに関する特集を組んだことにも現れているように感じる。

もう1つ"Creative"と関連付けられる事象として挙げられるのが、活気ある都市創造や人材育成のキーワードとして今年になって日本でも注目されるようになってきた"Creative Class"がある。聞き慣れない方もおられるかもしれないが、米国で今から5年前の2002年、都市経済学者のDr. Richard Floridaが"The Rise of the Creative Class"という書を著し、このフレーズが一気に世界的注目を浴びることになる。
簡単に言ってしまうと、Creative Classとは、アイデア、技術、コンテンツの創造で経済成長エンジンを担う人々を指す。そのコアは、科学者、エンジニア、建築家、デザイナー、教育者、アーティスト、ミュージシャン、エンタティナーなどが含まれる。ビジネス、金融、法律、医療、といった自律的に複雑な問題解決を扱うKnowledge Workerも含む。このKnowledge Workerの概念は、2年前に亡くなった現代経営学の発明者:Dr. Peter Druckerが唱えたもので、Dr. Floridaはこの概念も取り込んでいる。今後の世界市場における競争力は、これら"Creative Class"が好んで住むエリアおよび都市から生まれてくるのかも知れない。


では、この"Creative"にいち早く着目し、"Creative"を自分達の中で昇華し、実行している組織があるのかと考えたとき、直ぐに頭に浮かんだのが"IDEO"であった。私はアメリカ留学時期より、この企業の進化をキャッチ・アップしてきた。日本の土壌にはなかなか生まれないであろう、デザイン・コンサルティング・ファーム:IDEOは、あの深澤直人氏が籍を置いていたことでも知られている。この一種特殊なファームは、独特なデザインソリューション手法:より良い顧客経験をデザインするための5つのステップ(Observation、Brainstorming、Rapid Prototyping、Refining、Implementation)を駆使して、"Creative Economy"の先端を走り続けている。このような他者をワクワクさせる企業が、もっと日本にも誕生してもらいたい。
























私は今後も、"Creative"な組織、人、モノをこのブログを通じて紹介したいし、私自身も今以上にデザイン思考力を磨き、真の"Creative Class"の仲間入りができるように精進していきたいと思う、今日この頃である。

Monday, September 17, 2007

私の頭の中?

この三連休、皆さんはいかがお過ごしだろうか?
ブログも休みモードの、緩い話題を少し。

皆さんはご存じだろうか、今年になって密かにバーチャル上で話題になっている「脳内メーカー」というお遊びサイトを。現在注目の麻生太郎も、自民党総裁選の街頭演説でこのサイトを紹介してたりと、なんか盛り上がってる感じ。

私もこの休みの暇な時間に試してみた。
まずは、ハンドルネームでは、





















こんな感じ。

そして、私の本名では、





















こういう具合になる。

だからどうだと言われると、困るのだが、まあこういうスローなブログの日があっても良いのでは。
しかし、私の本名の頭の中は凄い俗人って感じがするなぁ。。。
皆さんも試してみては。

Thursday, September 13, 2007

あいまいな国の宰相:3つのキーワード

今回は昨日の出来事を受けて、急遽"Visionary"シリーズをお休みし、「あいまいな国のリーダー」について考えてみたい。といっても、ここで政治論や日本人論を展開しようなどとはさらさら考えていないので、あしからず。

しかし、事件というものは突発的に起こるものである。今回の出来事は、グローバルな視点で見ると「事件」と表現しても良いだろう。先進国、経済大国、Cool Japan、などといわれている国家のトップの作法がこんなものなのかと、世界中が目撃してしまったのだから。

今回の事件を見る場合、私は以下の3つのキーワードがすぐに頭に思い浮かんだ。

一つ目は、安倍首相の言説である。
彼は昨年首相に就任してから、様々な場所で「美しい国、日本」という言論を展開してきた。
私などは、このフレーズを聞いて、日本の伝統への回帰を唱えた日本浪漫派、または、川端康成のノーベル文学賞受賞記念講演「美しい日本の私」が思い起こされた。しかし実際は、安倍首相の言説をメディアを通して聞いてみると、その曖昧模糊さから、これは大江健三郎が今から13年前のこれまたノーベル文学賞受賞記念講演「あいまいな日本の私」の方が適当かなと思い至った。
この数ヶ月間で見えてきた年金問題、政治と金などのambiguousな事象の結末が、昨日の辞任表明であったことを考えれば、余りにも寂しい感じはするけれども。



次に、企業のマネジメント・サイドとの関係を多く持ってきた私が考える「リーダーシップ」についてである。極論すると、組織のリーダーであれ、国家のリーダーであれ、次の3つのポイントは必ず押さえておかねばならない。

1)説明責任
2)グランドデザイン構築力
3)出処進退の潔さ

安倍首相にはこの3つが欠如していたのではないだろうか?昨日の事象は、3)の欠如。任命権者たる安倍首相が選択した大臣達の不明瞭な動向、年金問題、国会運営、などに関する事柄に関して言えば、1)の欠如。そして極めつけは、国家のリーダーであれば絶対必要な2)の欠如。これに関して言えば、安倍首相は様々な危機的状況:年金問題、テロ特措法、参院選惨敗などに対して、内閣改造や農水大臣の首のすげ替えなど小手先のTacticsに走りすぎていたのではないだろうか。国家のグランドデザインを描くときは、先に述べたワンフレーズなどではなく、問題が起こる前にリーダー自身の先見性や洞察力(=Insight)によって、事実を把握し、仮説を構築し、実行していくというシナリオを何本も持っておく必要があるのではないだろうか。安倍首相にはこれがなかった。
考えてみると、私が実際に見てきた企業の経営者にもなかなかこの3つのポイントが備わっている人物がいなかったことは確かである。でも国家元首であれば、この3つの素養ぐらいは備えておいて欲しい。
安倍首相に敗者復活の場が用意されるのであれば、これらに思いを巡らせて頑張って欲しい。

最後のキーワードは、「参謀」である。
先週亡くなった、第二次世界大戦中には関東軍参謀、戦後は伊藤忠商事会長、中曽根内閣のブレーンとして活躍した瀬島龍三のような人材を安倍内閣は持ち得なかった悲劇があろう。
どんな組織でも良質な参謀は必要で、リーダーになる人物はトップに立つ準備として、この参謀を見つけることが求められる。彼に関する評伝を読んでいると、瀬島龍三は帝国陸軍参謀として養われたLogicalな思考を身に付けた人物だったようだ。彼は未来に起こるであろう問題に備え、その事柄を他者に伝える手法として、シナリオA案、B案、C案、・・・、そしてA案に対してのA'、B案に対してのB'・・・・、という感じに、明解なグランドデザイン=戦略を部下達に指示したという。
安倍首相にこのような人材が一人でもブレーンとして存在したら、現在のような状況は回避できていたかもしれない。

現在リーダーである人、これからリーダーになろうとしている人、これらの人達はこの3つのキーワードを肝に銘じて職責を全うして貰いたい。

Tuesday, September 11, 2007

"Visionary"2007前半:Gadget(SONY編)

私は結構ソニー派なのかもしれない。
アメリカ留学時は、AppleのPowerbookでバリバリ論文書いてたんだけど、当時のサポートの悪さとかで、日本へ戻ってからはPCもVAIOを愛用している。でも、最近私の周りがMacを使っている比率が高くなってきたり、今年発売される次期OSを見ていると、ちょっとMac回帰の気持ちが高まっている。

さてそんな私が今年ちょっと面白いかなと思って購入したのが、SONYの「mylo」。

My myloはこんな感じで、



これは先行で米国で発売されたんだけど、SONYとしては久々に機能的にはちょっとエンターテイメント系に振った感じかな。これで私は外部で仕事をしていても、Gmailに来たメールをチェックしたり、WEB見たり、など結構利用してます。難点をいえば、アクセスポイントが限定的なこと、それに私個人の意見としてはもう少しPDA的機能の充実を図って欲しかった。でも、Skype機能も入っているので、電話として使えるとこはいい感じ。

まあ、SONYならではのユーザーインターフェースが秀逸な所なんかは、SONY健在を大いにアピールできていると思いますね。もう少し機能性を重視するのであれば、iPhoneみたいにタッチパネルにして欲しかったです。Apple社のようにコミュニケーションツールの優位性をもっと表面化させる戦略を、SONYも今後は重視して欲しいですね。

そんなSONYが次に市場に送り出すのが、




これだったりする。詳しくは、こちら
昨日から先行予約開始、うーーん買ってしまうかも。

Thursday, September 06, 2007

"Visionary"2007前半:タイガースの勝利は、あのBGMと共に

再起動などと言っておきながら、またまた更新が遅れてしまった。。。

前回の更新でもお知らせしたましたように、今年前半に私のアンテナに引っかかってきた事象を"Visionary"シリーズとしてお届けしてみたい。
栄えあるシリーズ1回目は、やはり今年も後半に追い込みをかける「阪神タイガース」についてである。
昨年9月29日付のブログでも、タイガースについて熱く語らせてもらった。今回はある一人の投手と音楽の相関関係について、軽く語ってみたい。

昨夜の横浜戦で、我らがタイガースが4月12日以来のセリーグ第2位に躍進!!!
今晩の横浜戦にも勝って、7連勝、そしてクライマックスシリーズへのマジック点灯へ。

それにしても、ここ数年の阪神タイガースの勝負に対するこだわりは、我々ファンの心に響くものがありますね。阪神の強み=競争優位性はどこにあるのかと考えたとき、それはやはり投手陣、特に「JFK」と呼ばれる3投手の頑張りによるものではないか。その中でも、今の打撃優位と言われるベースボールの世界で、ストレートに独自の強みを持って向かっていく「藤川球児」のスタイルに私はいつも熱いものが込み上てくるのを感じるのだ。




皆さんは知っているだろうか、藤川投手がマウンドにクローザーとして登っていくとき、甲子園球場にファンの声援とポリフォニックにこだまするBGMを、"every little thing every precious thing"



LINDBERGが歌うこの楽曲を今夜も聞けますように(笑)

Monday, August 06, 2007

Reboot!!再起動!!、そして。。。

皆さん、大変、大変ご無沙汰しております。
前回更新から、な・な・なんと、半年以上もたってしまった。
仕事の多忙さ、プライベートでの様々な事象にかまけて、ブログ更新をサボりまくってしまった。
今年も半分以上が過ぎ去った中で、そろそろこのブログも再起動させねばと、久々の更新に至った。

私は昨年最後のブログの中で、自分の思考様式はアモルファス=不定型であると述べた。今年も半分が過ぎ去ってしまった現実の中、私が不定型に考え、行動したことに関して、次回以降では書き綴ってみたい。

今年の前半の自分自身が関心を持ったビジネス、アート、読書、ファッションなどを、"Visionary"シリーズとして、何回かに分けて書いてみよう。ちなみに、"Visionary"とは、最近ビジネス現場でよく耳にする言葉だが、先進的・独創的なビジョンによって経営を行い、社会に大きな影響を与え、それによって広く尊敬を集めるような経営者のことを一般的には指す。私がこのブログで書くのは、自分の洞察力や、先見性によって、私のアンテナに引っかかってきた事柄に関して、"Visionary"として表現してみたい。

それでは、"Visionary"第一弾で、お会いしましょう。

Monday, January 15, 2007

My Bookshelf

私は現在、自宅の本棚に和・洋書合わせて約2,000冊の書籍を所持している。
ネットの時代が到来し、ある時期書籍などの紙媒体は淘汰されてしまうなどということが誠しやかに議論されたことがあった。だが、現在になっても書籍は死なず、サバイバルしている。

テレビなどのマスメディアやネットなどのオンラインメディアの発達によって、最近では「本を読む」という行為が希薄になりつつある。もちろん、日々の新たな情報をキャッチ・アップしていくには、インターネットというソースは大変有効であるが、それらの情報は編集されずに、ただ撒き散らされている感は否めない。その点、書籍というものは、書き手が多様な情報と自分の思考を融和させて記述しているため、Inforamation(編集されていない情報)からIntelligence(編集された情報)へと昇華され、何年経っても色褪せない良書が多くある。

このように見てくると、まだまだ書籍という存在感は衰えを見せず、私の中でますます大きくなっていく。
そんなことを年末年始に考えながら、本棚の整理をし、より体系だった形へと収斂させた。だが、本の数が膨大であるのと、仕事などでよく利用する書籍類はすぐ手の届く範囲に置いておきたい体質なので、その試みは仕事始めの頃には見事に瓦解してしまっていた。

興味がある人はここをクリックして、私の本棚を覗いてください
↓     ↓     ↓      ↓      ↓


今年になってある方のブログを読んでいると、WEB上に自分の本棚を構築できるサービスがあることを知った。今後も増殖していくであろう書籍類のデータベース化と、既に手元にある書籍の中で私が物事を考えるときによく利用する書籍類を可視化することを目的に、一部ではあるがバーチャル本棚を作ってみた。まだまだ構築途中なので、完全とはいかないが、バーチャル本棚を作っていく過程での過去から現在、そして未来への本の旅ができそうな予感である。

Wednesday, January 03, 2007

A Happy New Year 2007!!

新年明けましておめでとうございます。
あっという間に正月も3日が過ぎました。
2007年の幕開け、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?

私はこの正月休みに、昨年から積読になっていた書籍類を読み進めております。
正月の静かな環境で、極上のJAZZやClassicを聴きながら読書をしていると、日常の忙しい日々が嘘のように思えてくる。

この様に静かな幕開けの2007年が、私の新たな一歩の礎になってくれたらと考える新年の3日間でした。

皆さんにとっても、2007年が猪突猛進の一年となりますように。