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Monday, May 05, 2008

4月の断片(その4):Designの終焉!?

黄金週間も後残すとこ1日になりましたね。



私は昨日(5月4日)には、建築家・隈研吾氏の「負ける建築の思想と実践」という講演を聴いたりして、クリエイティブ思考を活性化させる動きを休みの間も継続しております。

さて、このblogでもクリエイティブな事象に関して数多く触れてきました。
4月の始めに私の耳に入ってきたショックな事柄は、私が今までリスペクトしていた1人で、建築、インテリア、プロダクトなどの総合的クリエイターが引退するというものであった。
そのクリエイターとは、フィリップ・スタルクその人である。


私はこのニュースを聞いたとき、デザイン氾濫時代の終焉を予感した。スタルク自身のデザインは、建築物からステーショナリーまで、この世に存在するデザインできるモノ全てに彼の視線は降り注がれているように思えた。私自身も、彼がデザインしたEyewearやステーショナリーなどを幾つか愛用している。
世界をデザインするかのように活発に活動していたその彼が、2年以内にクリエイティブな現場をリタイアすると、3月27日付けの独週刊紙「ツァイト(Die Zeit)」のインタビューで表明したのだ。

http://www.afpbb.com/article/life-culture/culture-arts/2370831/2782336

デザインの仕事に嫌気が差したスタルクは、「私がデザインしたもの全ては不必要だった。2年以内には確実にリタイアし、何か他のことをやりたい。まだそれが何かはわからないけど。自分を表現する別の手段を見つけたい。デザインとは、忌むべき表現形式だ」とコメントした。
また、「今後デザイナーはいなくなるだろう。将来のデザイナーは、パーソナルコーチや、ジムのトレーナー、ダイエットコンサルタントになるんだよ」とも述べている。
スタルクが語っている、「パーソナルコーチや、ジムのトレーナー・・・」のテキストを読むと、彼の興味が身体的な問題を解決するスキルに焦点が当てられていると推測できる。つまり、彼の関心事は脳的な部分から肉体的部分へと移行しているかのようだ。

デザインとかクリエイティブ・コミュニケーションは、プロダクトなどのモノや仕組みを介して広く、時間軸や空間軸を軽やかに超克して、不特定の誰かにコミットする喜びがある。しかし反面、モノや仕組みを介して、間接的にしかコミットできないという限定性も存在する。
世界視線を持ったクリエイティブスターであるフィリップ・スタルクには、この限界部分が誰よりも明確に彼自身の視線の彼方に見えているのかもしれない。
いかにデザインが間接的で、そのコミュニケーションに限界があったとしても、スタルクのような人物にはもう少しクリエイティブな現場に立ち止まっていて欲しい。