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Thursday, August 27, 2009

My 100 Standards(9/100):Belvest Jacket

またまたお久しぶりのモノに対する物語である。
今回は、ジャケットについてのお話をしてみたい。

私のジャケット初体験は、高校生の頃だったろうか。当時日本発のDCブランドが大ブームで、私もまたその渦の中に巻き込まれていたように思う。まだ菊池武夫がMEN'S BIGIのデザイナーだった頃のリネン・ジャケットを生意気にも高校生だった私は纏い、ちょっとアダルト気分に浸っていたのかもしれない。今から考えると、赤面の至りである。

ちょっと話は脱線しましたが、私は歳を重ね、その間に多様なブランドのジャケットの袖を通し、辿り着いたのが今回ご紹介する、Belvest(ベルヴェスト)のジャケット。
10年程前にこのジャケットに出会ったのだが、アメリカのブティックでこのジャケットを試着した時、身体を包み込むファブリックの柔かさと、その上品なカラーリングに私は一瞬にして魅了されてしまった。

Belvest Jacket


1964年、アルド・ニコレット氏によって北イタリアのパドヴァ近郊で創業したBelvestは、クラシコイタリアの上質な精神を踏襲する名門ブランドらしく、年代がを経た私のジャケットも未だ色褪せない。
日本の亜熱帯的気候や、Cool BIZにも負けず、私はこのジャケットを自身の身を引き締める意味においても、今後も着続けるであろう。日本で最もダンディーであると私が考える白洲次郎の名言、「ネクタイは忘れても、ジャケットだけは、忘れずにいつも持っていろ」という言葉を肝に銘じつつ。

さて今回も私のモノに対する思い入れを述べてみたのだが、あの藤原ヒロシも自身の愛着ある、お気に入りの100アイテムを纏めた書「Personal Effects」(マガジンハウス)で、モノに対するこだわりを述べている。時代の空気は、こういう潮流にあるのかな。

Personal Effects/Hiroshi Fujiwara

Thursday, January 29, 2009

プリンシプルと美意識の交錯

現在神戸・大丸で開催中の「白洲次郎白洲正子展」に足を運んだ。


何より私を驚かせたのは、白洲夫妻が暮らし、思索し、対談した場所:「武相荘」(ぶあいそう・武蔵と相模の境界にあることに因んでいるとか、白洲次郎の性分である無愛想から名付けたとも言われる)の一室を、インテリアなどもそのままに再現したセクションを中心に展示会が構成されていた所である。

展示会カタログ


そのリアルな生活空間の周りには、白洲次郎が関わった憲法改正草案要綱や、GHQとの遣り取りをしたレター類などの歴史的ドキュメント。スタイリッシュな白洲次郎が愛用したHERMESのクロコダイル製アタッシュケース、Louis Vuittonのトランク、イッセイ・ミヤケに特注した裏地がミンクのコート、ヘンリー・プールでオーダーしたスーツやジャケット類などが整然と展示されていた。ただ、日本で初めてジーンズを穿いたと言われる白洲次郎愛用のジーンズがなかったのは少し残念ではあるが。
また、リアルな美を愛した白洲正子が、自身の目利き力で収集した桃山時代(日本史上最も美術や文化が爛熟した時代)を中心とした陶磁器や書画。と思うと、北大路魯山人の焼き物があったり、鎌倉時代の仏像があったりと、実にユニークで、多彩な美の饗宴!!

吉田茂の懐刀として日本の戦後復興を助けた前期・白洲次郎、東北電力会長や様々な企業の取締役として高度経済成長の原動力となった中期・白洲次郎、そしてカントリー・ジェントルマンとして田舎から中央政財界に睨みを効かせた後期・白洲次郎。その全てがコンパクトに表現された展示会であった。
小林秀雄や青山二郎など一級の知識・文化人達から薫陶を受け、「形」を見る眼=目利き力を鍛錬された白洲正子の広範な美意識が垣間見られた展示会であった。

私はそれら展示物を鑑賞しながら、危機に瀕している現在の世界や日本の状況を、動乱の時代を疾走した白洲夫妻が生きていたらどのように評したのかを聞いてみたくなった。たぶん白洲次郎なら、この貪欲な高度資本主義をプリンシプルのないイズムであると言い放ったかもしれないが。。。。

白洲次郎関連展示物



白洲正子関連展示物

Monday, December 15, 2008

2008 Word & 2009 Plan

私が3日前のblogで、今年の漢字は「崩」じゃないかと予想したが、これは見事に外れて、「変」であった。
政治・経済・経営・社会など、社会科学的視線では妙にリアリスティックな考え方をする私としては「崩」の方が妥当だと感じるのだが。皆さんならどんな漢字を思い描きますか?


いずれにしても、ここ数年「命」(自殺者が増加)や「偽」(食品偽装増加)などの漢字が選ばれていたことを考えれば、今年は少し私の感覚としては明日への希望を込めた「変」なのかと捉えた。2008年で一番インパクトのあったフレーズが、バラク・オバマ次期アメリカ大統領の"Change"。そして、彼が次期大統領に選ばれる前から明確になった世界的金融大変動。その辺りから見えてくる言葉は、「変」だけだったのかもしれない。2009年はもう少し、PositiveでAggressiveな漢字が選択されることを期待。

さて、来年の予定をここで少し。

来年の初旬には、私の観たい展覧会が結構関西で目白押し。自身の備忘録として、ここに記しておこう。


まずは、1月下旬から神戸で開催される「白洲次郎白洲正子展」(大丸ミュージアムKOBE於)。第二次世界大戦前後を軽やかに疾走し、戦後は「美」と「義」に生きたこの華やかな夫婦のスタイルを、大変動の今こそその息吹に触れてみたい。

お次は、関西出身の世界的建築家・安藤忠雄の建築展が来年2月に開催(TOTOテクニカルセンター大阪於)。安藤忠雄の30代の代表作「住吉の長屋」&「光の教会」の縮尺1/10サイズのコンクリート模型を展示するほか、現在進行中の「プンタ・デラ・ドガーナ再生計画」&「モンテレイ大学 RGSセンター」などの海外最新作までを網羅するようだ。安藤忠雄という建築アイコンのクリエイティブ思考に触れる絶好のチャンス。

次の2つはまだ開催日程が未定なんだけど、ぜひ足を運びたい展覧会。
1つは、「20世紀のはじまり ピカソクレーの生きた時代」(兵庫県立美術館於)。もう1つは、私がその作品力に常々リスペクトしている杉本博司「歴史の歴史」展(大阪国立国際美術館於)。


この杉本博司の作品に初めてNYで触れてからのファンなのだが、彼の作品の深みは言うまでもなく、彼の記述するテクストにも私は大変共感を覚える。

さぁ!!2009年も面白いコトやモノを見尽くそう。