Wednesday, January 14, 2009

スタイルとしての「キャンプ」

先日留学時代の友人と久々に会い、食事を共にした。
その時、その友人が発した言葉に私は気持を動かされた。
その友人は米国でイノベーション・コンサルタントをやっているんだけど、彼との会話でビジネス・モデルを評価するとき何を重要視するかという議論になった。彼の意見として、「その企業なり組織ならではのスタイルにおいて見抜く」というのだ。
簡単なことではないが、企業や組織のビジネス・モデルというモノには、経営者の意志やビジョン、その企業に集う人々の情熱、企業のコア・コンピタンスなどなどが凝縮されている。その意味から、総合的スタイル=ブランド価値を見抜ければコンサルティング・ワークもスムーズに進むことは理解できる。

私が興味を持ったのはビジネス的見地ではなく、彼が発した「スタイルにおいて見抜く」と表現した部分にである。
この表現を聞いて頭にすぐ浮かんだのは、スーザン・ソンタグが自身の著書「反解釈」の中で述べていた概念についてである。「この世には名付けられていないものがたくさんある。そしてまた、名付けられてはいても説明されたことのないものがたくさんある。その1つの例が、その道の人々の間では『キャンプ』という名で通用している感覚である。これは紛う方なく近代的な感覚であり、ソフィスティケーションの一種ではあるが、必ずしもそれと同一ではない」というテクストで示した「キャンプ」こそその概念である。
皆さんは、「キャンプ」と聞いてアウトドアの遊びと考えてしまうかもしれないが、それは誤りである。
「キャンプ」という概念でソンタグが提起したかったのは、その道の人々の間で通用する感覚=自らを他と区別するバッジ=他者との差異性ではなかったか。
ライフ・スタイル、ビジネス・スタイル、ファッション・スタイルなど、「~スタイル」と表現される事象は、全て他者と何らかの差別化を図る言葉ではないだろうか。

こう考えると、最初に友人が言った言葉「スタイルにおいてその企業の本質を見抜く」ということにも納得がいく。今度ビジネス・ミーティングの席で、A企業とB企業はどちらが「キャンプ」ですかと、問いかけてみようか。
いずれにしても、ソンタグが40年前に唱えた「キャンプ」という概念は、多様な事象のスタイル=本質において見抜くという態度がますます重要になっている世界で、今一度見直されるべきではないだろうか。

最後に、「キャンプ」の代表の1人であろうこの人物の声を■D\(^^
William S Burroughs

No comments: