Tuesday, December 30, 2008

Logo:Creativeの源泉がそこにはある

いよいよ、今年も残り1日を残すのみとなりましたね。
こんな日には、私のビジネス的専門領域の1つであるブランド(企業)ロゴのお話でもしてみましょうか。

皆さんは、Logoと聞いてすぐに何を思い出すでしょう。ある人は企業ロゴ(例えば、ソニーとかアップル)が頭にすぐ浮かぶだろうか。それとも、ある人はファッションブランドのロゴ(例えば、LV=ルイ・ヴィトン、エルメス、シャネルマーク)を思い浮かべるだろうか。

それだけLogoというものは、企業やブランドにとって切っても切り離せないモノとなっている。
私が数年前、ブランド戦略構築現場にいた頃から、この社会や消費者にダイレクトに繋がる意匠に対して大変興味を持って、ビジネス視線で考察していた。

しかし最近、企業の商品やサービスに関して、ここのブランド・ロゴだから大丈夫であるなどの信頼性を消費者などに植え付けるはずのLogoが、少し安易に扱われ始めているのではないかと危惧している。
そんな危機感の中、面白い記事をWeb上で発見した。
それは、“45 Rules for Creating a Great Logo Design”というモノ。ここには、簡潔ではあるが、大変重要なことが表現されている。例えば、「3つ以上の色を使わない」、「可能ならロゴを正方形に収める」、「ロゴには視認性がなければならない」、「地球をシンボルに使わない」などなど、Logoをクリエイトする人々にとっては基本中の基本の事柄が列挙されている。

だが、私はこの基本が守られていない企業(ブランド)ロゴをよく見かけるようになった。
皆さんもご存じのドコモ。この企業のロゴマークが一新されたことに気付いてらっしゃいますよね。


3つ以上の色を使わない、というのは時代の変化の中で重要である。今回のリニューアルで、赤色単色にしたところは、ビジネスに対する情熱、未来への先進性を強く表現できていて良いと思います。しかし、これは日本の企業に大変多いのですが、どうもロゴが横に長すぎる。これは、45の法則の中でも述べられている、可能ならLogoを正方形に収めるということに反してます。Logoって言うのは、縦書きにする場合も多いので、その際どんなに頑張っても視認性が劣ります。これでは、せっかくのロゴ・リニューアルも台無しって感じでしょうか。

私が好きな企業(ブランド)ロゴは、以下のミニマルではあるが、主張していて、世界中の誰もがすぐに認識できるTypeでしょうか。






上記の企業って、それぞれ自身の市場でユニークなポジションを構築し、消費者に対して分かり易いメッセージを発し、何か驚きのある商品やサービスを提供し続けていると思いませんか?やはり、こういう企業はロゴ創造にもちゃんと向き合ってますよね。
これを見ると、もう少し日本の企業はオリジナルなロゴ構築=ブランド価値構築を、真剣に再考すべき時なのかもしれません。

少し辛辣に日本企業について評しましたが、日本でもロゴ構築について真摯に取り組んでいる組織もある。それは、国立新美術館。私はここのLogoの先進性、斬新さに、初めて見たとき驚きを覚えた。本当にオリジナル性に富んでいる。このロゴを作ったのは、現在デザイン界の寵児とも言われている佐藤可士和だ。彼は、Logoに使われているフォントも一から創造し、このどこにも存在しない、世界に1つだけのLogoを作り上げた。このような困難なクリエイティブ作業を行いながら、先に述べた45の法則の大部分を満たしていることにまた驚き、日本でもまだまだ素晴らしい発想を含有したLogoを構築できることに感心した。

2008年は「デザイン」や「クリエイティブ」という言葉が、雑誌、書籍、メディア、ビジネス現場で数多く見聞きした。今日のLogoの話しもそうだが、まだまだ日本のデザイン力はアメリカや欧州と比較すると優位性を持っているとは言えない。“Made in Japan”といえば、高品質やリーズナブルということがグローバル市場では常識となっている。そこに、クリエイティブ力やデザイン力に繋がるフレーズが続いて欲しい。そのためには、もっともっとクリエイティブの現場の人々が世界進出を果たすべきであろう。私も2009年のKeywordを“Architecture”を掲げた者として、来年は世界へ向けてその軸足を移していけるように一層精進したい。

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